新潟の冬を越えた古い家屋を思い浮かべてみてください。雪の重みに何十年も耐えてきた家でも、外壁の板がきれいなら安心とは言い切れません。ほんとうに大切なのは、目に見えない地面の下の基礎(きそ)や、家を支える太い柱・梁(はり)といった「土台」がしっかりしているかどうかですね。実は、お顔のたるみも似たところがあります。表面の肌だけでなく、その奥にある支えの層がゆるんでくることで、フェイスラインがぼやけたり、頬(ほお)が下がって見えたりするのです。
今回ご紹介するHIFU(ハイフ)とRF(高周波)のコンビネーション治療は、まさにこの「肌の土台」に働きかけて、たるみを引き締め、ハリを取り戻そうという考え方の治療です。HIFUは深いところの支えの層を、RFは浅め〜中間の層を、それぞれ違う道具でていねいに温める。ちょうど、家の基礎を補強しながら、壁や柱もあわせて手入れするようなイメージだとお考えください。
大切なことを先にお伝えします。HIFUやRFに使われる美容機器には、日本国内では未承認(みしょうにん)の機種が少なくありません。当院で未承認機器を用いる場合は、医師の責任のもとで管理して使用します。この点については後ほど「未承認の医療機器に関する重要な説明」の章で、くわしくお話しします。
HIFU+RFのコンビネーション治療は、「切らずに肌の土台から引き締めたい」という方に向けて考えられた治療です。次のようなお悩みをお持ちの方に、選択肢のひとつとしてご提案しています。
なお、効果の感じ方には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束するものではありません。たるみの程度やお肌の状態によっては、別の方法のほうが適していることもあります。まずはお顔を診せていただき、ふさわしいかどうかを一緒に考えていきます。
HIFUもRFも、皮膚の内側に熱を集めて働きかける治療です。だからこそ、皮膚のしくみと熱の扱いを深く理解した専門家の管理が大切だと私は考えています。
ここで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。HIFUをうたう機器のなかには、エステサロン向けや家庭用として売られているものもあります。しかし、消費者庁や国民生活センターからは、こうした機器による熱傷(ねっしょう。やけど)や神経の障害といった事故が報告され、注意が呼びかけられています。HIFUのように皮膚の奥に熱を集める行為は、本来、医師の管理下で受けていただくべきものだと私は考えます。「手軽そうだから」という理由だけで選ばず、皮膚を診る専門家のもとで受けることの大切さを、どうかご理解ください。
HIFU+RFのコンビネーション治療は、おおむね次のような流れで進みます。使用する機器や部位によって内容は変わりますが、基本の考え方は共通しています。
照射のときは、部位によってチクチク・ピリッとした感覚や、じんわりとした温かさを感じることがあります。感じ方には個人差があります。施術後は保湿などのアフターケアと、気をつけていただきたい点をお伝えします。
まず、SMAS(スマス)という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。これは表在性筋膜(ひょうざいせいきんまく)という、皮膚の下にある薄い膜のような支えの層のことです。お顔の「土台」の一部と考えていただくとよいでしょう。HIFUは、この深い層に超音波の焦点(しょうてん)を集め、点状(てんじょう)の小さな熱の凝固点(ぎょうこてん)をつくります。その刺激をきっかけに、皮膚がみずから引き締まり、コラーゲンをつくり直そうとする反応が起きると考えられています。
下の図は、皮膚の層と、HIFUの点状の焦点熱・RFの面状(めんじょう)の加熱が、それぞれどのくらいの深さに働くかを示した断面図(だんめんず)です。
もう一枚、HIFUの「点」とRFの「面」という温め方のちがいを、横に並べて比べた図をご覧ください。HIFUは狙った一点に熱を集中させ、RFは広い範囲をやわらかく温める。この性質のちがいが、組み合わせる意味につながります。
このように、深い土台を点で引き締めるHIFUと、浅め〜中間層を面で温めるRF。役割の異なる2つを重ねることで、たるみとハリの両面にアプローチしようというのが、コンビネーション治療のねらいです。


HIFU+RFの引き締めは、施術したその日にすべてが完成する、という種類の治療ではありません。照射をきっかけに、皮膚がコラーゲンをつくり直していく反応が、数週間〜数か月かけてゆっくり進むと考えられています。ですので、変化を実感するまでには少し時間がかかることが多いです。
くり返しの間隔や回数は、たるみの程度やお肌の状態、使用する機器によって変わります。効果には個人差があり、一律の回数やタイミングをお約束するものではありません。診察のうえで、無理のない計画を一緒に立てていきましょう。
HIFU+RFのコンビネーション治療は、比較的ダウンタイム(お肌が落ち着くまでの期間)が少ないとされる治療ですが、医療行為である以上、リスクや副作用がまったくないわけではありません。あらかじめ知っていただきたい主なものをお伝えします。
また、次のような方は、治療を受けられない、または慎重な判断が必要です。かならず事前にお申し出ください。
気になる症状が続くときは、がまんせず当院にご相談ください。皮膚科として最後まで経過を診(み)てまいります。
HIFU+RFのコンビネーション治療は、健康保険の使えない自由診療です。部位や範囲、使用する機器、照射の回数などによって費用は変わります。
※料金は部位によって細かく値段が分けられていますので当院の料金表をご確認ください。
医療広告のルール(医療広告ガイドライン)にもとづき、HIFUやRFの機器を用いる治療について、必ずお伝えしなければならない大切な事項をまとめます。ご検討の前に、かならずお読みください。
以上をご理解いただいたうえで、疑問やご不安があれば遠慮なくお尋ねください。納得して選んでいただくことを何より大切にしています。
部位や機器によって、チクチク・ピリッとした感覚や、じんわりした温かさ、押されるような感覚を覚えることがあります。感じ方には個人差があり、我慢できないほどではないことが多いですが、痛みに弱い方は事前にご相談ください。
たるみやハリの状態によって、片方だけをおすすめすることも、組み合わせをおすすめすることもあります。診察のうえで、その方に合った方法を一緒に考えます。
数週間〜数か月かけて徐々にあらわれることが多いとされています。ただし効果には個人差があり、はっきりとした変化を感じにくい場合もあります。永続するものではないため、定期的なくり返しを前提にお考えください。
皮膚の奥に熱を集める行為は、扱いを誤ると熱傷や神経の障害につながる可能性があり、実際に事故も報告されています。医療機関では、皮膚を診(み)る医師が状態を確認しながら、照射の深さや強さを判断します。安全のためにも、医師の管理下で受けていただくことをおすすめします。
赤みやほてりが落ち着いていれば可能なことが多いですが、状態によります。当日の過ごし方や注意点は、施術後にお一人おひとりにお伝えします。
妊娠中の方、照射部位に金属・糸・インプラントのある方、ペースメーカーなど体内電気機器のある方、皮膚に炎症や感染のある方などは、受けられない、または慎重な判断が必要です。かならず事前にお申し出ください。
HIFUとRFは、どちらも「熱で肌を引き締める」点では共通していますが、届く深さと温め方が異なります。ここが、組み合わせる意味の中心になります。
| 項目 | HIFU(高密度焦点式超音波) | RF(ラジオ波・高周波) |
|---|---|---|
| 使うエネルギー | 超音波(ちょうおんぱ) | 高周波の電気(ラジオ波) |
| 届く深さ | 深い層(真皮の深部やSMAS筋膜など) | 浅め〜中間の層(真皮〜皮下) |
| 温め方 | 一点に焦点を集め、点状に熱をつくる | 面(めん)でやさしく広く温める |
| 主なねらい | 土台の引き締め・リフトアップ | ハリ・引き締め・肌質のケア |
HIFUは、深いところの支えの層をピンポイントで引き締めるのが得意です。一方でRFは、もう少し浅い層を面でマイルドに温めて、コラーゲンの収縮や産生をうながし、ハリや肌質へのアプローチを得意とします。この「深さの担当がちがう2つ」を組み合わせることで、深部のたるみと、浅い層のハリの両面から働きかけよう、というのがコンビネーション治療の考え方です。ただし、これはあくまで理論上のねらいであり、効果には個人差があります。
HIFU+RFのコンビネーション治療は、雪国の古い家をしっかり支える「土台」のように、お顔の奥にある支えの層に働きかけて、たるみを引き締め、ハリを取り戻そうという考え方の治療です。深い層を点で引き締めるHIFUと、浅め〜中間の層を面でやさしく温めるRF。役割のちがう2つを組み合わせることで、たるみとハリの両面にアプローチします。一方で、効果はゆっくりあらわれ、永続するものではなく、定期的なくり返しが前提であること、赤みや腫れ、まれに神経への一時的な影響などの副作用がありうること、そして使われる機器には日本で未承認のものが多く、公的救済制度の対象外となることも、正直にお伝えしておかなければなりません。とくにHIFUは、家庭用・エステ用機器による事故も報告されており、医師の管理下で受けていただくことが大切です。新潟県三条市のけんおう皮フ科クリニックでは、皮膚の専門医としてメリットも注意点も包み隠さずご説明し、みなさまが納得して選べるよう努めてまいります。気になることは、どうぞお気軽にご相談ください。