ご予約・お問い合わせ
0256-64-7712
初診の方もご利用可能:当日Web受付

紫外線治療(光線療法)

MEDICAL

紫外線治療(光線療法)とは

長い冬が明け、雪解けのころに畑や庭さきへ春の光がさしこむと、じっと縮こまっていた作物や草花が、少しずつ芽をのばしていきますね。日ざしというと「浴びすぎると肌に悪いもの」という印象をお持ちの方が多いと思いますが、じつは光そのものは、量や波長(はちょう。光の種類)をきちんと選べば、からだにとってよいはたらきをしてくれます。この「良い紫外線」を、医療機器できめこまかく管理しながら皮膚の病気の治療に役立てるのが、今回ご紹介する紫外線治療(光線療法。こうせんりょうほう)です。

光線療法は、特定の波長の紫外線(しがいせん)を皮膚にあてて、過剰(かじょう)になってしまった免疫(めんえき)や炎症の反応をしずめていく治療です。日光浴のように「なんとなく浴びる」のではなく、病気に効くとされる狭い範囲の波長だけを、必要な量だけあてるのが大きなちがいです。

まず安心していただきたいのは、これは美容の自由診療ではなく、皮膚科で広く行われている標準的な保険診療の治療だということです。国内で承認された医療機器を用い、乾癬(かんせん)やアトピー性皮膚炎、白斑(はくはん)などの治療として、長年の実績と根拠(エビデンス)の積み重ねがあります。塗り薬や飲み薬だけでは十分でないときに、心強い選択肢のひとつになります。

どんな病気に使うのか

光線療法は、皮膚のさまざまな慢性(まんせい。長く続く)の病気に用いられます。おもに次のような疾患(しっかん)が対象になります。

  • 乾癬(かんせん):皮膚が赤く盛りあがり、銀白色のかさぶた(鱗屑。りんせつ)がつく病気です。光線療法は、この過剰な炎症と角化(かくか。皮膚が厚くなること)をしずめるのに役立ちます。
  • アトピー性皮膚炎:塗り薬でのコントロールがむずかしいとき、かゆみや炎症を抑える目的で組み合わせて用いられることがあります。
  • 尋常性白斑(じんじょうせいはくはん):皮膚の色がまだらに白く抜ける病気で、色素細胞(しきそさいぼう)のはたらきを促す方向にはたらくことが期待されます。
  • 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう):手のひらや足のうらに、うみを持った小さな水ぶくれ(膿疱。のうほう)がくり返しできる病気です。
  • 円形脱毛症(えんけいだつもうしょう):部分的に髪が抜ける状態に対して用いられることがあります。
  • 痒疹(ようしん):強いかゆみを伴う、かたいぶつぶつがくり返しできる状態にも使われます。

どの病気に、どのくらいの強さで行うのがよいかは、一人ひとりの状態によって変わります。効果の出方には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束できるものではありません。まずは診察のうえで、光線療法が向いているかどうかを一緒に考えていきます。

なぜ皮膚科で受けるのが大切か

光線療法は「光をあてるだけ」と聞くと手軽に感じられるかもしれませんが、じつは照射量(しょうしゃりょう。あてる紫外線の量)の見きわめがとても大切な治療です。だからこそ、皮膚を専門とする医師の管理のもとで受けていただくことに意味があると、私は考えています。

  • 正しい診断がまず必要です:見た目が似ていても、原因や治療法の異なる皮膚の病気は数多くあります。光線療法が適しているかどうかは、正確な診断があってはじめて判断できます。
  • 照射量を少しずつ調整します:紫外線は多すぎれば日焼け(やけど)のような反応を起こし、少なすぎれば効果が出にくくなります。皮膚のタイプや反応を見ながら、量を細かく調整していきます。
  • 累積(るいせき)の量を管理します:これまでにあてた紫外線の合計を記録し、長い目で見た安全性に配慮します。ご自宅の日焼けサロンなどとは、この管理の考え方が根本的に異なります。
  • 体質やお薬をふまえて判断します:光線過敏症(こうせんかびんしょう。光に過敏な体質)や、飲んでいるお薬によっては注意が必要な場合があり、事前の確認が欠かせません。

つまり光線療法は、皮膚の知識と、量を管理するしくみがそろってはじめて、安全に活きる治療なのです。

治療の種類(ナローバンドUVB・エキシマライト)

ひとくちに紫外線治療といっても、いくつかの種類があります。当院をふくめ皮膚科で広く使われているのは、おもに次の2つです。あてる範囲や波長によって、得意とする場面が異なります。

  • ナローバンドUVB:311ナノメートル前後という、治療に有効とされる狭い範囲(ナローバンド)の波長だけを取り出してあてる方法です。全身にあてる装置と、一部分だけにあてる装置があり、乾癬・アトピー性皮膚炎・白斑など、比較的広い範囲の病変に使いやすいのが特長です。光線療法の中でも、もっとも基本的でよく使われる方法です。
  • エキシマライト/エキシマレーザー:308ナノメートルの光を用い、病変のある部分だけをピンポイントであてられるのが特長です。健康な皮膚に余計な光をあてずにすむため、白斑や、手足など限られた範囲の乾癬など、部分的な病変に向いています。

どちらを選ぶか、あるいは組み合わせるかは、病気の種類や広がり、部位によって決めていきます。「広く均一にあてたいのか」「狭い部分に集中してあてたいのか」で使い分ける、とお考えいただくとわかりやすいと思います。

しくみ:紫外線が炎症・かゆみを鎮める

では、紫外線をあてるとなぜ皮膚の病気がよくなるのでしょうか。乾癬やアトピー性皮膚炎では、皮膚の中で免疫を担う細胞(とくにT細胞。ティーさいぼう)が過剰にはたらき、炎症やかゆみ、異常な角化を引き起こしています。特定の波長の紫外線は、この過剰にはたらいている免疫細胞の活動を、おだやかにしずめる方向にはたらくと考えられています。畑にさす春の光が作物の育ちをととのえるように、あばれすぎた免疫の反応を「ちょうどよい」ほうへ導いていく、というイメージです。

また尋常性白斑では、少しはたらきの異なる面があります。色が抜けた部分の色素細胞(メラノサイト)を刺激し、そのはたらきを促す方向に作用することで、色がもどってくることを期待します。同じ紫外線でも、病気によって「しずめる」場合と「うながす」場合があるのが、光線療法の奥ぶかいところです。

紫外線治療のしくみ。特定波長の紫外線が表皮から真皮浅層に届き、過剰にはたらく免疫細胞を鎮めて炎症やかゆみ、異常な角化を抑える皮膚断面の模式図
図:特定波長の紫外線が表皮〜真皮浅層に届き、過剰にはたらく免疫細胞を鎮めて、炎症・かゆみ・異常な角化を抑えます

このように、紫外線治療は薬を足していく治療とは少しちがい、皮膚がもともと持っている免疫や色素のバランスを、光の力でととのえていく治療だといえます。だからこそ、効果はゆっくりあらわれ、続けることが大切になります。

治療の流れと通院ペース

光線療法は、一度あてて終わりではなく、少しずつくり返して積み重ねていく治療です。通院のペースは、おおむね週1〜2回程度が目安になります。効果は数週間から数か月かけて、ゆっくりとあらわれてくることが多いです。あせらず続けていただくことが、なにより大切です。

一回ごとの照射時間は、部位や設定にもよりますが、多くは数十秒から数分程度と短時間です。皮膚の反応を見ながら、あてる量を少しずつ調整していきます。実際の一回の流れは、次のようなイメージです。

 
STEP 01
受付・診察
医師が皮膚の状態を確認し、その日の照射量(線量)を決めます。
STEP 02
照射部位の確認
治療する部位と、光のあて方をスタッフと一緒に確認します。
STEP 03
保護具の装着(目など)
目を守るゴーグルなどを着け、照射しない部位を保護します。
STEP 04
照射(短時間)
機器で特定波長の紫外線を数秒〜数分あてます。痛みはほとんどありません。
STEP 05
保湿・ご帰宅
照射後は保湿を行い、日常生活での注意点をご案内してご帰宅いただきます。

効果や皮膚の反応には個人差がありますので、途中で量やペースを見直すこともあります。「なかなか変わらない」と感じる時期もあるかもしれませんが、光線療法はゆっくり効いてくる治療です。気になることがあれば、そのつどご相談ください。

リスク・副作用・注意点

光線療法は、比較的安全性の高い治療とされていますが、医療行為である以上、リスクや副作用がまったくないわけではありません。良い面だけでなく、注意点も公平にお伝えしておくことが大切だと考えています。

  • 照射直後の赤み・ヒリつき:あてた部分に、一時的な赤みやほてり、ヒリヒリした感じが出ることがあります。多くは日焼けのあとに似た反応で、時間とともに落ち着きます。
  • まれに水疱(すいほう):量が強すぎた場合などに、水ぶくれができることがあります。だからこそ、少しずつ量を調整していきます。
  • 日焼け・色素沈着:回数を重ねると、日焼けのように肌の色が濃くなったり、色素沈着(しきそちんちゃく。色が残ること)が起こることがあります。
  • 長期的な理論上の懸念:長い期間・多数回にわたって紫外線をあてつづけると、皮膚の老化や、皮膚がんのリスクが理論的に指摘されています。そのため、あてた量の累積を医師が記録し、管理していきます。
  • 目の保護:紫外線は目にも影響しうるため、照射中は保護用のゴーグルなどで目を守ります。
  • 体質・お薬・妊娠中の注意:光線過敏症のある方や、一部の内服薬・外用薬を使っている方は注意が必要です。妊娠中の方は、事前にかならずご相談ください。

こうしたリスクは、正しい診断と量の管理によって、できるかぎり小さく抑えることができます。気になる症状が出たときは、がまんせず当院にお知らせください。皮膚科として最後まで経過を診てまいります。

費用について(保険診療)

光線療法(ナローバンドUVB・エキシマライトなど)は、対象となる病気に対して健康保険が適用される保険診療です。美容目的の自由診療とは異なり、公的な医療保険のしくみのなかで受けていただけます。

実際の費用は保険適用で1000円程度です。くわしくは受診時にご説明します。ご不安な点があれば、費用のこともふくめてお気軽におたずねください。

最新の料金は「料金表」でご確認ください

よくあるご質問

  • 日焼けサロンで代わりになりませんか?

    残念ながら、代わりにはなりません。日焼けサロンは治療に有効な狭い波長だけを選んであてるわけではなく、量の管理もされていません。かえって皮膚への負担や、日焼け・色素沈着のリスクを高めてしまうことがあります。光線療法は、医療機器で波長と量を管理してこそ意味のある治療です。

  • どのくらいで効果が出ますか?

    病気や個人差にもよりますが、多くは数週間から数か月かけて、少しずつあらわれてきます。すぐに変化を感じにくい時期もありますが、続けることが大切です。効果には個人差があり、一律の結果をお約束するものではありません。

  • 痛みはありますか?

    照射そのものに強い痛みはありません。あてたあとに、日焼けのような赤みやヒリつきを感じることがありますが、多くは一時的です。

  • 妊娠中でも受けられますか?

    状況によって判断が変わりますので、妊娠中の方、また妊娠の可能性がある方は、かならず事前にお申し出ください。ほかにも飲んでいるお薬や体質によって注意が必要な場合がありますので、遠慮なくお知らせください。

  • 塗り薬や飲み薬はやめないといけませんか?

    必ずしもやめる必要はなく、むしろ塗り薬などと組み合わせて行うことも多い治療です。今お使いのお薬があれば、診察の際にお伝えください。全体のバランスを見ながら計画を立てます。

  • どのくらいの回数、通えばよいですか?

    病気の種類や状態によって異なります。週1〜2回程度を継続していただくことが多いですが、経過を見ながら回数やペースを一緒に調整していきます。

まとめ

紫外線治療(光線療法)は、雪解けの春の光が作物の育ちをととのえるように、良い波長の紫外線をきめこまかく管理しながら、皮膚の過剰な免疫や炎症をしずめ、白斑では色素細胞のはたらきをうながしていく治療です。ナローバンドUVBは広い範囲に、エキシマライトは狭い部分にピンポイントで、といった使い分けができ、乾癬・アトピー性皮膚炎・白斑・掌蹠膿疱症・円形脱毛症・痒疹などに用いられます。塗り薬や飲み薬だけでは十分でないときの、心強い選択肢のひとつです。そしてなにより、これは国内承認の医療機器を用いた、保険適用の標準的な治療であり、根拠の積み重ねがある点が安心材料です。一方で、赤みやヒリつき、長期的な理論上の懸念といった注意点もあり、照射量と累積の管理が欠かせません。新潟県三条市のけんおう皮フ科クリニックでは、皮膚の専門医として、良い面も注意点も包み隠さずお伝えし、みなさまが納得して治療を続けられるよう努めてまいります。気になることは、どうぞお気軽にご相談ください。

WEB予約はこちら ▶

参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 尋常性乾癬の治療および光線療法に関する診療ガイドライン.
  2. 日本皮膚科学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(補助療法としての紫外線療法に関する記載).
  3. 日本皮膚科学会. 尋常性白斑診療ガイドライン(ナローバンドUVB・エキシマライトに関する記載).
  4. Menter A, et al. Phototherapy for psoriasis: narrowband UVB and excimer light. 皮膚科領域の一般的総説(PubMed掲載).
  5. 厚生労働省. 医療広告ガイドライン(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針).