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水虫、爪水虫

MEDICAL

水虫、爪水虫とは

足や爪の悩みを抱える方は少なくありません。特に多いのが水虫(足白癬)と爪水虫(爪白癬)です。

これらの疾患は、古くから人々の生活に潜んでおり、その歴史は数世紀前に遡ります。興味深いことに、水虫の最初の記録は古代エジプトのパピルスにまで見られ、現代の水虫と類似した皮膚感染症が記述されています。しかし、20世紀に入り都市化が進み、靴下と靴を履く習慣、そして共同浴場の利用が増加したことで、水虫は広く蔓延するようになりました。第一次世界大戦や第二次世界大戦中には、塹壕や兵舎の湿った不衛生な環境が水虫の蔓延をさらに助長したと言われています。アメリカでは1930年代に「athlete's foot(運動選手の足)」という名前が広く知られるようになり、多くの人がこの病気に悩まされました。医学的には1908年にロンドンの皮膚科医アーサー・ホイットフィールドによって初めて詳細に記述されました。一方、爪水虫が真菌による感染症であると最初に特定されたのは1853年のことでした。

このように、水虫と爪水虫は長い歴史を持ち、現代においても多くの人々が悩まされている一般的な疾患です。これらの感染症は、皮膚の角質層を好む真菌(白癬菌、カンジダ、非皮膚糸状菌など)によって引き起こされ、暖かく湿った環境で繁殖しやすいという特徴があります。

なぜ皮膚科なのか?

水虫や爪水虫の治療において、皮膚科を受診することには重要な意味があります。

皮膚科は、皮膚、髪、爪の病気を専門とする診療科であり、これらの部位に特化した深い知識と豊富な経験を持つ医師が診療にあたります。皮膚科医は、皮膚や爪の状態を詳細に観察し、水虫や爪水虫に特徴的な症状を見極めることができます。また、これらの真菌感染症とよく似た症状を示す他の皮膚疾患との鑑別診断を行うための専門的な訓練を受けています。実際、皮膚科以外の診療科では、水虫や爪水虫と類似した症状を持つ別の病気を見誤る可能性も指摘されています。

例えば、湿疹や乾癬なども足や爪に症状が現れることがありますが、治療法は水虫や爪水虫とは全く異なります。皮膚科医であれば、正確な診断に基づき、最新の抗真菌薬や適切な治療法を選択することができます。さらに、皮膚科医は、患者さんの状態やライフスタイルに合わせて、外用薬、内服薬、そして必要に応じて外科的な治療やレーザー治療などを組み合わせた、より効果的な治療計画を立てることが可能です。他の診療科、例えば内科や外科、整形外科などでは、皮膚や爪の専門的な知識が不足している場合があり、十分な治療が行われないこともあります。足の感染症という点で整形外科が関連する可能性もありますが、真菌感染症の専門はやはり皮膚科です。

皮膚の感染症に悩んだ際には、専門的な知識と技術を持つ皮膚科医の診断と治療を受けることが、早期回復への最も確実な道と言えるでしょう。

当院(けんおう皮フ科クリニック)の特徴

けんおう皮フ科クリニックでは、患者様一人ひとりの満足度を第一に考え、最新の医療技術と知識に基づいた質の高い医療を提供しています。水虫や爪水虫の治療においても、一般的な治療法に加えて、当院ならではの特別なアプローチを行っています。

CO2レーザーによる爪のケア

爪水虫が重症化し、爪が著しく肥厚している場合、CO2レーザーを用いて感染した爪組織を丁寧に除去します。これにより、外用薬の浸透が向上し、治療効果を高めることが期待できます。

多様な抗真菌薬の選択肢

外用薬、内服薬ともに、最新のものを含めた豊富な種類の抗真菌薬を取り揃えています。患者様の症状や状態、ライフスタイルに合わせて、最適な薬剤を選択し、きめ細やかな治療計画をご提案します。

丁寧な診断と患者指導

経験豊富な皮膚科専門医が、患者様の症状を丁寧に診察し、顕微鏡検査などによる正確な診断を行います。また、治療法だけでなく、日常生活での注意点や予防法についても詳しくご説明し、患者様が安心して治療に取り組めるようサポートします。

地域密着型の医療

地域に根ざしたクリニックとして、お子様からご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者様の足と爪の健康をサポートしています。保険診療を中心に、患者様の負担を考慮した治療を行っています。


当院では、これらの特徴を活かし、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を提供することで、水虫や爪水虫の早期改善と再発予防を目指しています。

具体的な症状と年齢別の特徴

水虫(足白癬)と爪水虫(爪白癬)は、症状が現れる部位や年齢によってその特徴が異なります。

水虫(足白癬)の主な症状

趾間型

足の指の間、特に薬指と小指の間に多く見られます。皮膚が白くふやけたり、皮がむけたり、ジュクジュクしたりします。かゆみを伴うことが多いです。

小水疱型

足の裏や側面に小さな水ぶくれができます。強いかゆみを伴い、破れるとジクジクすることがあります。

角化型

足の裏全体の皮膚が厚く硬くなり、カサカサと乾燥した状態になります。かゆみはあまり強くないことが多いですが、自覚症状がないまま進行することもあります。

爪水虫(爪白癬)の主な症状

  • 爪の色が白く濁ったり、黄色や茶色に変色したりします。
  • 爪が厚くなったり、変形したりします。
  • 爪がもろくなり、かけたり、ボロボロになったりします。
  • 爪の表面が凸凹したり、縦に筋が入ったりします。
  • 爪と皮膚の間に隙間ができたり、爪が剥がれたりすることがあります。
  • ひどくなると、爪が黒っぽくなることもあります。

年齢別の特徴

年齢層 水虫(足白癬) 爪水虫(爪白癬)
子供 比較的まれですが、10歳以降の思春期に多く見られるようになります。症状は趾間型が多く、かゆみを伴います。 まれですが、爪の変色や肥厚が見られることがあります。他の爪の異常と間違われやすいこともあります。
大人 最も多く見られる年齢層です。趾間型、小水疱型、角化型など、様々なタイプの水虫を発症します。スポーツをする方や、革靴などを長時間履く方に多い傾向があります。 水虫に合併して発症することが多く、加齢とともに罹患率が高くなります。
高齢者 加齢に伴い、皮膚のバリア機能が低下するため、水虫を発症しやすくなります。また、糖尿病や血行不良などの基礎疾患を持つ方もリスクが高まります。 高齢になるほど罹患率が著しく高くなります。爪の成長が遅くなることや、免疫力の低下なども影響します。

ご自身の症状と照らし合わせて、気になる症状があれば、お早めにご相談ください。

なぜ水虫になるのか?

水虫と爪水虫は、主に白癬菌という真菌(カビ)の一種によって引き起こされます 4 。白癬菌は、ケラチンというタンパク質を栄養源としており、皮膚の角質層や爪、髪の毛などに感染します。

感染経路

直接的な接触

水虫に感染している人の皮膚や爪に直接触れることで感染します。

間接的な接触

感染者が使用したタオル、靴下、スリッパ、バスマットなどを共有することで感染することがあります 8 。

公共の場所

温泉、プール、ジム、銭湯などの共用施設で、感染者の剥がれた皮膚などに触れることで感染することがあります 。

白癬菌が繁殖しやすい環境

高温多湿

白癬菌は、高温で湿度が高い環境を好みます 。

通気性の悪い靴や靴下

革靴やブーツ、ナイロン製の靴下など、通気性の悪いものを長時間履いていると、足が蒸れて白癬菌が繁殖しやすくなります  。

足は汗をかきやすく、そのまま放置すると白癬菌の繁殖を助長します 。

感染リスクを高める要因 

  • 加齢
  • 男性
  • 糖尿病
  • 免疫力の低下
  • 血行不良
  • 多汗症
  •  閉鎖的な靴の着用
  • 爪の怪我
  •  家族内感染
  • 水虫の既往歴

これらの要因が重なることで、水虫や爪水虫に感染しやすくなります。

治療法

水虫と爪水虫の治療法は、症状の程度や範囲、患者様の状態によって異なります。

外用薬

軽度の水虫には、抗真菌成分を含む塗り薬(外用薬)が用いられます 。代表的な成分としては、ルリコナゾール(ルリコン)、テルビナフィン(ラミシールAT)などがあります。これらの薬は、真菌の細胞膜の合成を阻害したり、真菌を殺したりする作用があります。通常、1日1回、患部とその周辺に塗布します。治療期間は症状によって異なりますが、3か月程度が目安です。

内服薬

重症の水虫や、爪水虫には、抗真菌成分を含む飲み薬(内服薬)が用いられることがあります。代表的な薬剤としては、テルビナフィン(ラミシール)、イトラコナゾール(イトリゾール)、フルコナゾール(ジフルカン)、グリセオフルビン(グリスフル)、ホスラブコナゾール(ネイリン)などがあります。これらの薬は、体の中から真菌の増殖を抑える効果があります。治療期間は、水虫の場合は数週間から数ヶ月、爪水虫の場合は半年から1年以上かかることもあります。内服薬には、肝機能障害などの副作用が現れる可能性があるため、定期的な検査が必要となる場合
があります。

最新の治療法

エフィナコナゾール外用液(クレナフィン)

新しいタイプの外用爪白癬治療薬で、爪への浸透性が高いのが特徴です。

 ルリコナゾール外用液(ルコナック)

こちらも比較的新しい外用爪白癬治療薬です。

レーザー治療

爪水虫に対して、レーザーを照射する治療法も一部で行われています 3 。ただし、現時点では保険適用外であり、効果や再発率についてはまだ十分なデータがないのが現状です。

新規抗真菌薬の研究

現在も、新しい作用機序を持つ抗真菌薬の研究開発が進められています。

当院での治療

けんおう皮膚科クリニックでは、患者様の症状に合わせて、外用薬、内服薬に加え、爪のケアなど、様々な治療法を組み合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。

日常生活で気をつけるポイント

水虫や爪水虫の治療と予防には、日常生活での注意が非常に重要です。

清潔を保つ

  • 毎日、石鹸を使って足を洗い、特に指の間を丁寧に洗い、しっかりと乾燥させましょう。
  • 靴下は毎日履き替え、汗をかいたらこまめに交換しましょう。
  • 靴下、バスマット、タオルなどは、家族と共有しないようにしましょう。

通気性の良い靴を選ぶ

  • 革やキャンバスなど、通気性の良い素材の靴を選びましょう。通気性の悪い靴(ブーツやビニール製の靴など)はできるだけ避けましょう。
  • 同じ靴を毎日履くのは避け、数足をローテーションして履き、靴の
  • 中を十分に乾燥させましょう。

公共の場での注意

温泉、プール、ジム、銭湯などの共用施設では、裸足で歩かないよ
うに、スリッパやサンダルを履きましょう。

その他

  • 抗真菌作用のあるフットパウダーを使用するのも有効です。
  • 爪は深爪を避け、まっすぐに切りましょう(一般的な衛生管理)。
  • 足や爪の状態をこまめにチェックし、異常があれば早めに皮膚科を受診しましょう。
  • 水虫がある場合は、爪に感染が広がる前にしっかりと治療しましょう。
  • 家族に水虫や爪水虫の人がいる場合は、一緒に治療し、再感染を防ぎましょう。

よくある質問(FAQ)

  • この疾患は自然に治る?

    いいえ、水虫や爪水虫は真菌感染症ですので、自然に治ることはほとんどありません。適切な抗真菌薬による治療が必要です。

  • 市販薬で対応可能?

    軽度の水虫であれば、市販の抗真菌薬で症状が改善することもあります。しかし、爪水虫や症状が重い場合は、医療機関を受診し、医師の診断と処方を受けることをお勧めします。

  • すぐに受診すべき?

    症状がひどい場合や、市販薬を使用しても改善しない場合、また、糖尿病や免疫力の低下がある方は、早めに皮膚科を受診してください。爪水虫の場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをお勧めします。

  • 水虫はうつる?

    はい、水虫は接触感染します。感染している人の皮膚や剥がれた角質、使用したタオルなどを介して感染することがあります。

  • 爪水虫はうつる?

    はい、爪水虫も他の爪に広がったり、ご家族などclose contact のある人に感染する可能性があります。特に、足の指同士が密着していると感染しやすいと言われています。

  • 治療期間はどのくらい?:

    水虫の治療期間は、症状の程度や範囲によって数週間から数ヶ月程度です。爪水虫の場合は、爪の生え変わるスピードにもよりますが、一般的に数ヶ月から1年以上かかることがあります。根気強く治療を続けることが大切です。

  • 再発はありますか?

    はい、水虫も爪水虫も再発する可能性があります。治療後も、日常生活での注意点や予防策をしっかりと守ることが重要です。

まとめ

水虫、爪水虫は、ありふれた病気ですが、放置すると症状が悪化したり、他の人に感染させてしまう可能性があります。ご自身の足や爪に気になる症状があれば、自己判断せずに、まずは皮膚科専門医にご相談ください。

けんおう皮膚科クリニックでは、患者様一人ひとりの症状や状態に合わせた丁寧な診察と、最新の治療法をご提供しています。手術療法など当院ならではの治療アプローチもございますので、他院でなかなか治らなかった方も、ぜひ一度ご相談ください。地域に根ざしたクリニックとして、皆様の足と爪の健康をサポートさせていただきます。

よく似た症状の別の病気

水虫(足白癬)とよく似た症状を示す病気には、以下のようなものがあります。

  1. 接触皮膚炎(アレルギー性、刺激性)
  2. 湿疹(アトピー性皮膚炎、異汗性湿疹)
  3. 乾癬(掌蹠膿疱症)
  4. 紅皮症
  5.  カンジダ症
  6. 点状角質溶解症
  7. 若年性足底皮膚症
  8. 剥離性角質融解症
  9. 足底疣贅(いぼ)
  10. 摩擦性水疱
  11. 手白癬(手の水虫)
  12.  掌蹠膿疱症
  13. 角化症(遺伝性、後天性)
  14. 急性潰瘍型足白癬
  15. 無菌性浸軟(多汗症による)
  16. 小児梅毒
  17. 毛孔性紅色粃糠疹
  18. 疥癬

爪水虫(爪白癬)とよく似た症状を示す病気には、以下のようなものがあります。

  1. 爪乾癬
  2. 爪扁平苔癬
  3. 爪外傷(爪甲鉤彎症、爪甲剥離症、爪下血腫)
  4.  黄色爪症候群
  5. 細菌性爪感染症(爪周囲炎、緑膿菌感染症など)
  6. 薬剤性爪異常(テトラサイクリン、キノロン系抗菌薬、ソラレンなど)
  7. 爪甲剥離症(様々な原因による爪の剥がれ)
  8. 爪甲脱落症
  9.  粗造爪(縦方向の凹凸、脆い爪)
  10. 爪腫瘍(ボーエン病、メラノーマ、線維腫、有棘細胞癌)
  11.  爪下外骨腫
  12.  爪母腫
  13. 先天性厚硬爪症周期性爪脱落症
  14. 甲状腺疾患
  15. 爪黒線条(様々な原因による爪の黒い線)ダリエ皮膚病
  16. 特発性/外傷性爪甲剥離症
  17. ばち状指
  18. テリー爪

これらの病気は、見た目が水虫や爪水虫と似ていることがありますが、原因や治療法は異なります。正確な診断のためには、皮膚科を受診することが重要です。